日本でのアーケードとは
雪国のがんぎ
道路上の日除けテント
市場の木造屋根
法定のアーケード 建築基準法第44条第1項但書
(公共用歩廊) アーケード設置基準
H19建築基準法道路関係規定運用指針
1 連続したアーチをもつ構造物。大きな建築物のわきの柱に架けたものなど。 また、かまぼこ形の天井をもった通路。拱廊(きょうろう)。
2 屋根のようなおおいを設けた商店街。
3 商店、飲食店などの並んでいるビル内の通路。
外国での名称
ポルティチ〔ローマ〕
ポルティコ〔ローマ〕
アーケード〔イギリス〕
コロネード(歩廊)
キャノピー
ストア〔ギリシャ〕
ガレリア〔イタリア〕
バザール
パッサージュ〔フランス〕
クローズドモール
プラザ
日本のアーケードの起源
日本のアーケードを区分するとアーケードの果たす役割によって、3種類に分けられる。
1.
共同日覆い 全蓋(ぜんがい)式(道路全面を覆った)アーケード
2.
庇下 片側式アーケード(道路の片側部)
3.
雁木(小店) 建物の軒下 雪国の東北や信越など、雪の深い地方で、軒からひさしを長くつき出して道をおおい、 積雪中でも通行できるようにしたもの。
3種類の区分は地域的要因によってアーケードの成立要因となる
柱武家「庇下」
17世紀半ばの明暦の頃の江戸では、表通りに面した町屋前面に、幅一間程度の「庇下」アーケードとも呼ぶべき連続した通路が存在していた。「廊下」アーケードは、 江戸幕府の体面を整えるという意味から、町並景観の整備を行うために作られたものであったが幕末には、暖簾に囲まれ個人的に商業空間として 利用されるようになった
「江戸伝馬町、道幅八間、左右溝アリ、溝ヨリ内、一間ヲ犬走りト称シ、コレニ庇ヲカケテ、往来二便ニス、雨雪ニ、傘ヲ用ヰザリキ」(大言海より)
片側式アーケードの原型
明治初期には銀座煉瓦街が建設される、今日見られる片側式アーケードの原型となる。
銀座煉瓦街は、都市の不燃化のために、特に対外的に明治新政府の偉容を示すために、総延長6000m以上にわたって作られた。列柱歩廊をもつ煉瓦造の商店街である
東京のアーケードは、昭和10年末の東日本では、共同施設として日覆い」を整備している商店街はほとんどなかった
1923年帝国ホテルライト館の中にホテル直結のショッピング街として日本で最初の「アーケード」という名称を使った。専門店が専門の品物を売るショッピング街=「アーケード」として言葉の使用が始められる。
雁木(小店)通り
雁木は、道路両側の軒下をつけた家が密接して連続した町並みを形成している。
上越市の高田城築当時になかったがその後近い時期に降雪時の通路として建設された。 弘前市こみせ(小店)通りは享保年間(1716-1735)の頃から、続きの店構えの商家が多くなったと史に書かれた書がある。
共同日覆い
全蓋(ぜんがい)式アーケード/商店街単位で整備された「共同日覆い」を持つ商店街は、ほとんど西日本、特に瀬戸内地方に集中している。
これは、特に温暖多照小雨の特徴をもつ瀬戸内地方の気候に関係があり、夏季には、強い日射を遮る必要があったことによると考えられる、 昭和10年当時は、現在のように食品の保存技術が進んでおらず、また衣料品を扱う店舗にとっては商品の日焼け」を防ぐ意味からも日覆い」は重要であった。 さらに西日本は、東日本に比べて商業集積の度合いが高く、商店街としてまとまっていたため、共同事業として旧覆い」の整備を進めやすかったと考えられる
近年アーケードの出現の状況
昭和20年代後半には、民間でも比較的鋼材を使用できるようになったため、鉄鋼式のアーケードが建設された。
シルバーアーケードおよびシルバーオーニング
アルミニウム製の長尺開閉羽板で屋根を葺く点に特徴がある
桁行方向に細長いアルミニウム羽板を開閉する ことで光量を調節し、雨を防ぎ、さらに火災時の排煙を行うものである。
構造体には鉄が用いられ、後半期になると、アーケードの屋根の一部分に明かり取り用の合成樹脂板を用いたり、化粧板のみの簡単な天井を備えた。
合掌型アーケードおよび梁型アーケード
断面が200×100程度の比較的太い梁を合掌型に組み合わせて屋根を形作ったアーケード。
軽量形鋼をラチスぱりに組み合せて用いていた。合掌型の屋根は、初期の段階では直線状であったが、後には曲線状になった。
屋根材の材質には、前半期には主に組入ガラス波板、後半期には主に強化ポリエステル波板が用いられた。
また後半期からはアルミニウム板による天井を備えだした
ルーバー型アーケード
左右の天井間に光量を調節する金属板製のルーバーを取り付たアーケード。
ルーバーの材質には、最初期の頃のみ鉄が用いられたが、多くはアルミニウムが用いられた。
全体の構造および屋根の材質は、合掌型アーケードに準ずる
ドーム型アーケード
75×45程度の比較的細い角形鋼管を母屋および小梁として十字に組み合わせて屋根を形作ったアーケード。
なお「ドーム型」アーケードの呼称については、屋根の形状から、本来ならば、「ヴォールト型」と呼ぶべきであるが、既に「ドーム型」の呼称が一般的 になっている。
屋根の形状については、当初半円アーチ、むくりをつけるなど、しだいに多様化した。
屋根材の材質には、前半期にはFRP平板が、後半期にはポリカーボネイト平板が用いられている。
アーケードの歴史については、当社が辻原万規彦(現:熊本県立大学 環境共生学部教授 )に過去の資料提供や協力を行いました。それにより
「辻原万規彦,藤岡里圭:アーケードの原型としての日覆いに関する研究」 の論文に使用されています。
この論文と当社の過去の竣工写真や営業資料と共にこのページを作成しています。